よく「日本人は米を食べていたから米をよく食べるべきだ!」「米は日本人の心」という意見をよく聞きます。
歴史を負ってみてみましょう。
そもそも米を作る、農耕が始まったのはいつでしょうか?
農耕がはじまり、定住生活を始めたのは約1万年前です。
ですが、我々ホモサピエンスは農耕が始まるよりも前から世界に広がっていたのです。
20万年も前から狩猟採集を行っていた、肉食系雑食の時代の方が、穀物を食べてきた歴史よりも長いのです。
約20万年もの間、肉や魚や貝を食べてきたわけですが、こういった食べ物は保存がききません。
狩猟採集で得た食料は即座にみんなで分けて食べ、獲物がいなければ獲物がいる場所に移動する必要がありました。
常に飢えとの闘いだったのです。
ところが、約1万年前に米や麦などの農耕がはじまり、食料の保存ができるようになりました。
米や麦などの穀物大量に栽培・保存できるようになったことで生活様式が一変したのです。
狩猟採集の時代の化石調査と農耕の時代以降の化石調査では大きな違いが観察されています。
虫歯と体格です。
狩猟採集時代には虫歯があまり見られず、体格も大きいのです。
穀物はそのまま生で食べるとヒトの消化器官では消化できません。
穀物は植物のタネですから、動物に食べられても子孫を残せるように、消化されないために消化阻害物質を大量にまとい、糞として排出されるようにしたのです。
これをヒトは煮炊きすることでデンプン質をα化したり、粉にして調理することでデンプン質を消化しやすいよう変形させて食べることを身につけます。
ところが長年の食性には合わなかったため、体が小さくなり、虫歯を患うようになりました。
加熱調理によるデンプンのα化は糖化しやすく、肉や魚、木の実などに比べて早くエネルギーとして取り込めます。
穀物はエネルギー源としてはとても優秀ですが、血や肉や骨になる成分はほとんど含まれていません。
さらに、炭水化物から得られるエネルギーがなくとも体は働きますし、同僚の穀物から得られるエネルギー量と油脂から得られるエネルギー量を比べると、油脂から得られるエネルギー量の方が4倍ほど多いのです。
「脳はブドウ糖しか栄養にできない」は大間違いなのです。
ヒトが何を食べてきたのかをきちんと調べると、ヒトに合った食事がわかります。
世の中に出てくる情報は少しの本当が含まれているので、一見正しいことに見えるものがあります。
情報を鵜呑みにしてはいけません。
どんな情報でも一旦は疑うクセをつけましょう。
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